編集後記 -大会を終えて-

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~ 銀傘の陰から ~

第79回選抜高等学校野球大会が昨日幕を閉じました。今大会は、決勝戦に代表されるように接戦が多く、また初出場校、新鋭校、特別枠校の活躍が目立った大会となり、夏の甲子園とは違い、センバツ特有の盛り上がりを見せました。
今大会の観客動員数は41万5千人で昨年の39万人を上回りました。注目度の高かった大阪桐蔭・中田選手や緊迫した試合が多かったことが要因でしょう。テレビでみると空席の目立つ感のあるセンバツですが、早朝からファンは駆けつけ、現地での熱気、盛り上がりは伝統ある大会であることを感じました。

さて、今コラム最後の配信となります今日は甲子園視察時のエピソードを紹介します。

3月31日大会第9日の準々決勝第1試合大阪桐蔭常葉菊川戦。ネット裏からスコアブックをつける私に某スポーツ紙の記者が私をスカウトと勘違いし話しかけてきました。否定するとその記者は残念そうに席に戻りました。中田選手の記事をスカウトのコメントを添えて書きたったのでしょう。

続く第2試合の熊本工対室戸戦。私のとなりの席にすわった40歳くらいの男性が熊本工の選手を指し「この選手はいいですよ」と。聞けば、熊本から20年ぶりに甲子園を訪れたそうです。今年の熊本工の印象を話しあった後、私が愛媛県出身だという話をすると、第78回夏の甲子園決勝で松山商がサヨナラ犠飛と思われた3塁走者を右翼手が捕殺し、熊本工を下したあの「奇跡のバックホーム」に話題が移りました。彼は「あれはセーフだ」と言い張りましたが、私は「ビデオで何度も見たがあれはアウトだ」と応戦しました。どうやら熊本県民はあの決勝での敗戦から、学校だけでなく郷土全体で甲子園優勝への思いを熊本工に託しているように感じました。そんな時、耳に飛び込んできたのが対戦相手の室戸アルプスの大応援。これが高校野球であり、甲子園なのだと実感しました。
閉会式で脇村高野連会長が、「高校野球は郷土と一体となって育まれる」という言葉が印象に残りましたが、まさに“郷土が若人を全国舞台に送り出す”、そんな雰囲気が甲子園という舞台にはあるのでしょう。

最後に今回もKAIスポ・第79回春のセンバツコラムをご購読頂いた読者の皆様に厚く御礼申し上げます。季節の変わり目ではございますが、お体ご自愛頂き、ますますご発展されますことを切にお祈りいたしております。また夏の甲子園でお会いしましょう。    

-2007年4月4日 KAIスポーツ新聞社・春のセンバツ取材班-