第3日 ~79回センバツコラム~

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大会第3日 3月25日(日)の試合結果
千葉経大付5-4中京 ②室戸2-1報徳学園 ③宇部商4×-3日大藤沢 ④帝京9-1小城

☆今日のKAIスポは!?☆
曇り、雨、晴れとめまぐるしく天候が変わった大会第3日。1点差試合3試合、20奪三振の快投あり、サヨナラ本塁打ありとセンバツの面白さが凝縮された一日となった。そんな中、強豪を相手にさわやかな風を放った初出場の2校の戦いぶりを紹介する。


~ 四国の台風、大金星(高知・室戸)~

大阪桐蔭を破っての秋の近畿大会優勝、明治神宮大会準優勝の報徳学園は、今大会、大阪桐蔭とならび優勝候補筆頭に挙げられる。朝の甲子園までの電車の中で、スポーツ新聞の報徳エース・近田を形容する「難攻不落のエース」の文字が躍る。「室戸は少ないチャンスをものにしたい」との予想に目を通しつつ、組合せ決定直後の室戸・横川監督の「(出場32校中)32番目のチームがトップと対戦する。開き直ってやるしかない」の言葉も頭をよぎる。

しかし、私は四国の学校の底力を肌で感じる一人。ひょっとしたらという想いは誰よりも強い。四国は学校数の割りに甲子園での勝ち星が多く、また、経験からレベルの高い甲子園未出場校も多いと感じているからだ。ただ、確かに大方の予想通り、室戸が報徳に勝つパターンは、「接戦に持ち込み、少ないチャンスをものにする」しかないのだ。

 試合は、その通りの展開となった。序盤、制球を乱した室戸・エース森澤だったが、好投手・近田と互角に渡り合い、耐えしのぐ。0対0の均衡を破る7回の攻防で2対1として、そのまま逃げ切った。まさに室戸が勝つにはこれしかない“耐えて耐えて勝つ”パターンだった。

 台風上陸で有名な室戸岬からやって来た室戸野球部を、衰退する漁師町の町おこしのシンボルとして町民みんなが支援している。
 季節外れのさわやかな台風は、優勝候補・報徳を飲み込み、町民の夢を乗せて、センバツで風力拡大中だ。



~ 高校野球らしさ、球場を味方に(佐賀・小城)~

春優勝1回、夏優勝2回の強豪・帝京に挑んだ佐賀・小城高校。最速147キロを記録した注目の帝京エース・大田の前に、20三振を喫し、1対9の大差で敗れ去った。力負けは見るも明らかな試合だった。

投げては、大黒柱のエース・井出大が初回、制球定まらず押出し四球と3安打でいきなり6点のビハインド。攻撃では、1回2死から3回まで7連続三振を喫し、「とんでもない試合になるのでは」と球場全体に危ぶむ雰囲気さえあった。

しかし、小城ナインは超満員のアルプスの声援を受けながら、どんなに三振を重ねようが、何点取られようが、声を切らさず最後まで全力でプレーを続けた。エース・井出は地区大会を一人で投げぬいた意地でこの試合も、最後まで強力打線に立ち向かった。

そんな選手達のひたむきな姿を見たスタンドのファンはいつしか小城ナインに声援を送り始めた。今日は4試合日となっており、この試合は、ナイトゲーム。最後まであきらめない小城ナインの姿が高校野球らしさなら、夜の肌寒い中、熱心に戦況を見つめ、温かい声援と拍手を送るスタンドもこれまた高校野球らしさといえよう。

進学校の小城の練習時間は一日2時間。朝の補修がある為、朝練もできない。昼休みをグラウンド整備にあて、夕方の2時間を密度の濃い練習にあてる。私の母校も似た環境にある為、その苦労は共感している。限られた環境の中で甲子園まで出てきた小城高校に心から拍手を送りたい。